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ペットの法律・ペットと法律 喜多村 行政書士事務所
日本行政書士会連合会登録 第12080676号 東京都行政書士会 会員 第9030号
ペットをご購入なさる際のトラブル予防のための方法は、業者さん*からの購入の場合でも個人間の場合でも、ほぼこれに尽きる、と申しあげることができます。
一部書面等の交付が法律によって義務付けられている場合を除き、売買の多くは口頭の合意だけでも成立します。そして、販売業者さんからの購入は、最低限これだけの事*(クリックしていただくとページを移動します。尚、、第8条4項の主旨は現第8条の2の2項、第8条5項は第8条7項とお読み換えくださいませ)を文書によって示される必要性が『動物の愛護及び管理に関する法律施行規則』に定められており、これを確認して受け取りました、とする購入者のサインを含めて、契約における努力義務とするとしています。
動物関連法では、業者以外である個人間の売買についてこのような規定はありませんが、民法が『原則として契約の内容を決めるのはお互いの間では自由ですよ』としながらも、売り手買い手それぞれの責任と義務を定めています。
そこで、売買に伴う様々なやりとりのうえで、『言った』『言わない』が後々問題にならないために必要となるものが『契約書』です。
わかりやすく書かれた契約書もありますが、書式によってはまず文字そのものが極めて小さかったり、『○○法第〇条第○項に基づく〜』といったように、その場ではまず理解が難しい記載がなされたものもありますので、ここはひとつ踏ん張ってその内容を把握し、場合によっては不要な項目を削除し、必要な条項を加えるよう、販売する側に申し入れることをお勧めします。
また、販売の際に事実とはあきらかに異なっていることを告げたり《不実告知(ふじつこくち)》、買い手の利益のみを告げて逆に不利益な事実をあえて告げなかったり《不利益事実の不告知》、不確実なことを確実と評価して告げたり《断定的判断の提供》したことによって買い手が判断を間違ってしまった場合には、消費者契約法により、又は民法上の錯誤により売買契約の無効が認められる場合があります。
*販売の場合はペットショップさん・ブリーダーさんなど。ブリーダーさんにも販売店さん同様、動物取扱業*の登録が必要です。登録の申請先は自治体によって異なりますので確認が必要です。
*動物取扱業について
平成24年6月より、従来規定されていた動物取扱業者に以下のふたつが対象として
加わりました。
動物の売買をしようとする者のあっせんを会場を設けて競りの方法により行う者
(競りあっせん業)
注)これはいわゆる『オークション』なのですが、「会場を設けて」の規定に
あたらないネットオークションはこの対象にはなっていません。
有償で動物を譲り受けて飼養を行う者(譲受飼養業)
注)譲り渡した側が以降の飼養に必要な費用を全部あるいは一部に関わらず負担し、
それを飼養する業種(『老犬ホーム』や『老猫ホーム』など)です。
例えば、ご購入後のペットの健康状態が思わしくない場合、売主の『契約不適合責任』(令和2年4月1日に施行の改正民法において、改正前の『瑕疵担保責任』に代わる、あらたな規定です。)の有無が問題になります。
『契約不適合責任』とは、例えば売買の場合(契約不適合責任は、債権に関する他の契約や、民法以外の法律においても応用されています。)であれば、「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合に売主が買主に対して負う責任」とされています。
ペットの売買の場合、例えばブリーダーさんなどから複数のペットの売買をひとつの契約としたときなどを除いて、一般的なペットの売買において「数量」が問題になることは稀であると思われますが、「種類」は、血統書付きではない売買の場合に生じ得るとも考えられます。
そして、「品質」については、ペットの場合は生きものであるため、他の物品類とは異なり、どこまでが「品質」なのかを定義し辛いとも思われますが。購入後のペットの健康と生命に最も関わるものです。
ペットの売買における契約の際には、この責任について、どのように記載されているかを買主が充分に理解し、納得したうえで契約することが重要になります。
改正民法における売主の『契約不適合責任』に対する買主の権利は、改正前の売主の『瑕疵担保責任』に対する買主の権利よりも具体的に明文化されていますが、改正後しばらくの間は、その解釈や運用を巡っての議論が生じることも予測されます。
一方、法律の改正とはかかわりなく、不幸にもあらかじめ病を負ってしまっている動物の疾患に売主・買主のお互いが気付かず、引き渡してしまうことはあり得ます。
『生命保障制度』として、引き渡し後、ある程度の期間内に先天的疾患と判断される場合やその原因による死亡について、交換や返金に応じている売主もあるようです。ご購入なさる方にとってはひとまず安心なことですが、ただ、その内容と期間についての設定はまちまちです。
さらに、その疾患の先天性についての判断を売主指定の獣医師さんの診断によってのみ行う場合や、治療で治る場合でも売主指定の病院での治療が定められていたり、その際、売主が負担する医療費の上限がペットの購入価格と決められている場合があります。
売主にとって、これらの線引きは当然かと思われます。しかし、あらかじめ買主が承諾できないものがある場合は、それらの点を伝えて、双方が合意できる契約内容に換えても良いものです。
なお、契約不適合責任責任を問うことができるのは、原則として、買主がその不適合を知ってから1年以内(これは「任意規定」と呼ばれるもので、売主が事業者ではない場合に契約不適合責任を負わないとすることは可能です。但し、売主が事業者であり、買主が一般消費者である場合、事業者の契約不適合責任の全てを無効とすることはできません。)とされています。
できれば、ご購入されたら、その後、係りつけになれそうな獣医さんを見つけるためも含めて、何事もなくても一度診察を受けていただいたほうがよろしいかと思います。
そして、もしもその以前に異常が見受けられたら、排泄物を画像に残しておいたり、売主から引き取った後に与えた食品のラベルをやはり画像にしておくことも、その原因を知るための方法になり得る場合があるとも思われます。