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ペットの法律・ペットと法律 喜多村 行政書士事務所
日本行政書士会連合会登録 第12080676号 東京都行政書士会 会員 第9030号
民法上、『物』とされる動物ですが、日本の憲法同様、人の基本的権利がしっかり規定されているほかの国の場合はどうでしょうか?
ドイツは日本の気質に近い、と言われますが、ドイツの民法第90a条一文には『動物は物ではない』とあります。
この国には『犬の法律』があります。この法律は犬を飼育する人のみならず、社会全体の構造として犬の生命を尊重しようとするものです。
ところが、この第一文が脚光を浴びる反面、続く第二文には『動物は個別の法律によって保護される』とされ、さらに第三文では『動物について法律に特段の定めがない限り、物に対し適用される規定が準用される』と、ややトーンダウン気味に記されています。つまり犬以外の動物については、物一般と異なる『特段の規定』が制定されない限り、結局は『物』になってしまうことになります。ここでもやはり『物』と『者』の間に画す一線の難しさがうかがえます。
法律と共に、人々の意識によって犬の地位を実質『生き者』に高めたドイツですが、ではなぜ法律上の地位を決定づける『特段の規定』を犬以外の動物についても早々に確立できなかったのでしょうか?
ドイツではさらに2002年のドイツ連邦共和国基本法改正でこのように規定しました。
『国は、将来の世代への責務として、憲法が定めるその枠組みに従い、立法を通じ、また、法律と正義に従って行われる行政と裁判を通じ、自然環境に基づく生活基盤ならびに動物を保護する』
(ドイツ連邦共和国基本法 第20a条)
ついに憲法にあたる基本法にまで宣言をしましたが、民法以上の効力を持つ法制である一方、先程の民法第90条と同様、具体的な施策が施されない限り、あるべき姿勢を示す理念的な規定としての域を超えていないとする見解もあります。
これは動物に対する人の姿勢のありかたを法律で規定することは出来ても、これに並行して民法や各契約法などの、動物に関わる人同士によって行われるあらゆる行為を万事規定することは難しく、結局根本である人の倫理の問題にたちかえってしまうからなのかもしれません。
喜多村 行政書士事務所
行政書士 喜多村 淳
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