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ペットの法律 ペットと法律

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 Pet-Life Support & Answer  喜多村 行政書士事務所
 
    日本行政書士会連合会登録 第12080676号  東京都行政書士会登録 第9030号  

トラブル拡大防止のために 医療 

         獣医師と飼い主の契約関係

        〜 医療行為の成功自体は必ずしも約束されていません 〜 

 獣医師さんにペットの診察や治療をしてもらうことは診療契約です。これは民法上の『準委任契約』あるいは一部『請負契約』とも解さるようですが、ここでは『準委任契約』を前提としてご説明いたします。

 『準委任契約』は『委任』同様の規定が適用され、診察治療を了解した獣医さんには『善良な管理者としての注意義務【民法第644条】』が課せられ、つまり自分のこと以上の注意をはらって委任されたことに取り組まなければならない責任を負います。

 しかし、準委任契約はあくまでこの義務の遂行を目的とするに留まるので、症状の平癒や治癒までを確実に約束させるものとは異なります。そのため、飼い主の期待とは異なる結果となってしまってもその事実だけでは獣医さんの責任を問うことはできません。

 だからこそ、獣医さんには診察や治療についての能力が期待され、医療の知識を持たない立場としては、委任の文字どうり『任せた』といえるだけの信頼を寄せることになります。

        医療ミスを疑うことになってしまったら

           〜 医療の知識がなくても、指摘は可能です 〜

 『過失の一応の推定の理論』と呼ばれる考え方があります。これは法律条文中に記されたものではなく、過失の存在を判定するにあたって、ひとつの手法として導き出されたものです。

 高度の医療知識は誰もが持ち得るものではありません。そのため、医学治療の場面で行われていたことの適否を患者側が判断することは極めて困難です。

                     

 責任指摘の方法のひとつとして、民法第415条にある債務不履行によって生じる損害賠償請求が考えられます。

 医療ミスによる被害についてまず考えられるのは『不法行為【民法第709条】』ですが、この場合『医療行為と被害の関係成立』と『加害行為の原因となる過失の立証』は、被害者が行う必要があるとされています。しかし、これでは飼い主に医師と同レベルの知識を強いることになりますので、ここに『過失の一応の推定の理論』が被害者救済のための応用策として用いられます。

 この理論では、被害者に必要となるのは加害行為と損害の立証です。投薬による不調あるいは施術による不具合というように、加害と被害の関係性を具体的に証明できれば、加害の原因になったとされる過失の存在を一応推定したうえで、逆に加害者とされる側に自らの過失の無いことを立証するよう求めることができると講学上されています《立証行為の転換》

 不法行為はあらかじめの契約の有無を前提としませんが、冒頭にも述べた診療契約は法律上の契約行為であり、この契約を遂行しなかった事実《債務不履行》によって被った損害の賠償を求めるものです。

 準委任契約の成立と共に発生する『善管注意義務(善良な管理者としての注意義務)』の遂行は契約によって生じる債務であり、これを故意や過失によって遂行《履行》しないことは債務不履行にあたります。

 医師の場合の善管注意義務が要求する内容は、医師全般の平均的な設備や技術水準を満たしていることや医師としての社会通念上必要なモラル等とされています。そして、これらに違反したことと損害との間に、原因と結果がつながる充分な関係《相当の因果関係》が認められれば、債務不履行による損害賠償の請求が可能となります。

 不法行為のケースでは過失の一応の推定に基づいて課される場合もある無過失の立証責任が、債務不履行を問うケースではあらかじめ債務者側にある点でまず両者は異なります。


 また、それぞれの責任を問える期間にも違いがあります。

 【民法 第724条】    不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損
             害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消
             滅する。不法行為の時から20年を経過したときも時効によって消滅する。

 【民法 第167条】第1項  債権は、10年間行使しないと消滅する。

 不法行為では3年、20年とふたつに分けて時効期間が定められていますが、損害と加害者のいずれか、あるいは両方がわからない場合を除いては、損害と加害者を被害者が確認したときから3年間は賠償責任を求めることができます。

 これに対し、注意義務違反と損害の間の因果関係が証明されている場合の損害賠償について、被害者(債権者)は10年間請求が可能となります。

 それぞれのメリット・デメリットはケースごとに異なります。特に医療過誤に関するトラブルの裁定は専門知識の領域を避けて通ることができないため、期間や労力への一層の負担が懸念されます。

 そこで現在、主要都市の地方裁判所には医療過誤事件を専門に取扱う医療集中部あるいは医事集中部が設けられており、人を対象とする事件と同様ペットに関する医療事故もここで審理される場合があるようです。

          患者としての飼い主の権利

              〜 患者も『消費者』です 〜

 医療行為をお願いする場合でも、患者には『消費者』としての権利があります。

 医療をサービスと捉えると医師はその提供者、患者はその消費者です。そして一般論ですが、患者と医師の契約上の関係では、医療知識や技術についての情報量の差異の点から医師がより優位に立つと考えられています。

 大きく『消費者法』と称される枠内にある各法律に共通する目的はこのようなギャップを補い、それぞれを公平な立場に置くことにあるとされていますが、契約事の種類や条件は無数に存在しますので、場合によってはこのバランスが逆転し、杓子定規な解釈ではサービスを提供する側がむしろ著しく不利になってしまうこともあり得ます。

 そこで、医療行為の契約にも売買などと同様、『免責』についての特約が付けられることがあります。

 この『免責』やこれを含む契約に関しても『消費者契約法』が適用されます。そのため、患者に一方的な義務や不利益を強いる免責事項はあらかじめ両者の合意が無ければ無効となります。

                     

 準委任契約の規定では、

 【民法 第645条】 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告
           し、委任が終了したときは、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければなら
           ない。

 とあり、委任を受けた者の報告義務を記していますが、立場の優劣が伴う場合は特に委任者(患者)への情報提供がスムーズに行われない可能性があります。

 そのなかで日本獣医師会は『インフォームド・コンセント』の徹底を強く打ち出し、治療に関する方針や費用について、飼い主と緊密な連携と相互理解のうえでの治療を医師に呼びかけています。

 もし治療について、過度の情報提供不足や相互理解のために必要な手段の著しい欠如があった結果、飼い主の意思決定が損なわれ、それと明らかな因果関係にある被害を被った場合は、『自分に関わる事は自分で決める』権利であ自己決定権の侵害の指摘が考えられます。

 自己決定権は憲法から導き出される人格権の一部で、これを損なう行為は不法行為にあたるとされています。


   医療に関係するトラブルは契約という一般的な面と医療という特殊専門的な面が
      併存します。

      そのため過失の有無の判断等について、予測困難な状況が起こりうる分野です。

      結論までの期間を充分に見越した準備と対応をすることが、波及が懸念される
      そのほかのトラブルを避けるためにもまず重要と思われます。


                                   喜多村 行政書士事務所
                                       行政書士 喜多村 淳


                                       

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